AIコラム:画像AIでできること
AIによる画像処理とは何か、どのような目的に活用されるのか、詳しく解説します。画像処理は、画像を解析してその内容を理解する技術です。これは、大きく分けて「分類(または認識)」と「検出」の2つの目的に使われます。
画像処理は、プログラムによるものやAIによるものでも、基本的な定義と目的は変わりません。
画像処理技術1:分類(認識)
分類(または認識)は、画像処理の技術の1つで、物体認識とシーン認識に分かれます。物体認識は、画像内の物体が何であるかを判別する技術で、例えば犬や猫などの生物を識別することが含まれます。AIによる画像認識は、カメラ画像から人の年齢や性別を判定したり、手書きの文字をテキストデータに変換するためにも使われています。
一方、シーン認識は、画像内の要素から全体のシーンを理解する技術です。例えば、芝生、ボール、ゴール、複数の人物が写っている写真から「サッカーのシーン」を認識することができます。この技術は、SNSで写真を自動的に分類する機能などで広く活用されています。
画像処理技術2:検出
検出は、画像処理の技術で、物体検出と領域検出に分かれます。物体検出は、特定の物体を画像内で検出し、その位置を特定する技術です。例えば、監視カメラの映像から人間を検出して、その人物を追跡して記録する機能に応用されています。
領域検出は、画像内の物体の境界線を見つけ出す技術です。例えば、文書内の手書きの記入欄の範囲を特定して、その領域を切り出すことがあります。
これらの技術では、形状、色、動きなど、さまざまな特徴を利用して画像処理が行われます。
画像処理で使用されるAIの技術
AIの画像処理に使用される主要な技術には、「機械学習」「ニューラルネットワーク」「ディープラーニング」があります。
機械学習は、AIが数字や文字の特徴を学習する技術で、手書き文字の認識や不良品の検出などに応用されます。
ニューラルネットワークは、人間の脳神経回路をモデル化した数学的な構造です。例えば、手書き文字認識では、入力層から隠れ層(中間層)を経て出力層に情報を伝え、画像を認識します。
ディープラーニングは、機械学習の一種で、より複雑な処理を可能にします。ディープラーニングは特徴を自動的に学習し、例えば猫とライオンの赤ちゃんを分類するなど、難しい画像処理にも使われます。
AIによる画像処理のメリット
ディープラーニングのAIを使用することには、以下のメリットがあります。
異なる特徴の物体の処理: AIは自動的に特徴を学習するため、異なる特徴を持つ物体の処理が可能です。良品と不良品のように多くのパターンに対応できます。
チューニングの負担軽減: ディープラーニングのAIは自律的に学習するため、チューニングにかかる技術者の負担が少ないです。
AIによる画像処理の具体例
AIによる画像処理の具体的な例を紹介します。
工場での品質検査: 製造品の品質検査で不良品を検出し、業務効率向上と人件費削減を実現します。
スマート農業: 作物の状態をモニターし、害虫の発生箇所に農薬を散布するなど、スマート農業において色による分類が活用されます。
新型コロナウイルス肺炎の検出: CT画像をAIで解析して肺炎を検出し、人の診断よりも正確な判断が可能です。
顔生成: GANを使用して存在しないアイドルの顔を生成したり、アニメのキャラクターを作成する技術が注目されています。
自動運転: 自動車やドローンの自動運転にはAIによる画像処理が不可欠で、人や障害物の認識に利用されます。
AI画像処理システムを効率的に開発するには、Neural Network Consoleのようなプログラミング技術不要のツールや、AIやIoTを試すためのシングルボードコンピュータなどを活用することができます。これらのツールを使えば、深い知識がなくてもさまざまな課題に対応する画像処理システムを簡単に構築できます。