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AIコラム:AIによる振動検知で異常を予知できる?振動を観測する理由や検知手順、注意点を紹介
2023/10/03
製品知識

AIコラム:AIによる振動検知で異常を予知できる?振動を観測する理由や検知手順、注意点を紹介

工場の設備や橋、ビルなどの建築物は、安全性を保つために定期的な点検と整備が欠かせません。しかし、これらの設備を定期的に点検しても、必ずしも異常を見逃さないことがあります。ミスを減らし、作業者の経験差を埋めることは難しく、残念ながら事故が発生することもあるのが現実です。

設備や部品の定期的な交換は安全性を維持するために不可欠ですが、使用可能な設備や部品でも交換が必要な場合があるため、コストパフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。さらに、メンテナンスのたびに設備を停止することで、稼働率が低下する可能性も考えられます。

安全に関連する保全活動は、通常「事後保全」「定期保全」「予知保全」の3つに分けられます。具体的には、「事後保全」は事故が発生した後に対処する活動を指し、「定期保全」は日常的に行われる定期メンテナンスなどを指します。これらの活動に加えて、「予知保全」が重要な役割を果たしています。なぜなら、「予知保全」は異常を事前に感知する仕組みを採用しており、コストパフォーマンスと稼働率の向上に貢献するからです。

「予知保全」において、振動検知が特に適している理由があります。その理由は以下の通りです。

  1. 他のパラメーターより異常が見えやすい: 設備や建築物の不具合を検出するには、振動以外にも音、温度、光、外観などのパラメーターが有用です。ただし、これらのパラメーターは外部要因からの影響を受けやすく、特に工場などでは複数の設備が稼働しているため、データの解析が難しくなります。振動は異常を検出しやすく、異常が発生した場合、比較的速やかに影響を受ける特性があります。
  2. 不具合の原因を推測できる: 振動データを基準に、異常振動の波形を調査することで、不具合の原因を推測できます。ただし、複数の不具合が同時に影響を及ぼす場合もあるため、FFT解析などの周波数解析装置を使用して、正確な原因を特定することが重要です。部品のひび割れ、摩耗、軸ズレなどが振動データから判別できる異常の例です。
  3. 旧式の設備でも適用可能: 振動検知は、古い設備にも後付けで導入できます。設備自体を交換する必要はなく、センサーを取り付けるだけで済みます。さらに、AIを活用した高機能なセンサーも登場しており、設備を停止することなく導入できます。

AIを振動検知に活用することには以下のメリットがあります。

  1. 迅速な導入: AIを利用した振動検知は、異常時の振動データが不足していても導入が可能です。AIは学習能力を持っており、正常時の振動データをもとに異常を検出できます。設備を停止せずに導入作業を進めることができます。
  2. 高精度な異常検知: 人間が振動データから異常を判断する場合、経験やスキルに依存してバラつきが生じることがあります。しかし、AIを使用すると高精度な分析が可能です。

AIを振動検知に導入する手順は以下の通りです。

  1. 現状把握: AIを導入する前に、現在のメンテナンス状況を記録し、客観的な評価を行います。頻度、時間、作業人数などのデータを収集します。
  2. 対象の優先順位付け: 全ての設備に振動検知を導入する必要はありません。重要な設備から導入を始め、停止による影響やコストを考慮して優先順位をつけます。
  3. 振動データの収集: AIの学習に必要な振動データを収集します。通常時のデータだけでなく、不調な設備からもデータを取得し、異常を検出するためのサンプルとして保管します。
  4. AIへの学習: 収集した振動データをもとに、AIに学習させます。深層学習を使用することで、AIは自動的に異常を識別できるようになります。
  5. 振動検知の開始: センサーが設備に取り付けられ、AIはリアルタイムのデータと学習データを比較し、異常を検出します。アラート発生時の対応ルールをマニュアル化し、迅速な対策を計画します。

AIを振動検知に導入する際には、以下の注意点に留意することが重要です。

  1. 対象の絞り込み: 振動検知を行う対象を絞り込むことで、データ収集と解析の効率を向上させます。
  2. センサーの設置に注意: センサーの適切な設置位置を検討し、ノイズを最小限に抑えるようにします。高所や狭所にセンサーを設置する場合も考慮します。
  3. 高性能センサーを検討: 高性能な振動マイクロフォンなどのセンサーを活用することで、精度の高いデータ収集が可能となります。

UNEAXのIoT振動センサーはAIを活用してエッジで異常検知を行うことができる製品です。また、低電力で動作し、堅牢性に優れており、さまざまな環境での使用に適しています。AIによる振動検知は、設備と建築物の安全性向上に貢献し、コストを削減する手段として有効です。導入時には慎重に計画し、最適な設備に適用することが重要です。